君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
『分からない………。 ただ、もう一緒にはいられないと………。 いくら引き留めても無駄だった………』
『………櫂兄さん………』
『俺は………、 志帆さんに会いたい一心で………受験を蔑ろにし、お前に重荷を背負わせる結果になったのは間違いであったと………心から思う。
でも………俺は、志帆さんを心から愛していた………』
『………ッ』
ーーー震えた、 櫂の声。
まるで、魂の奥底から泣き喚いており、それを必死に押し殺したような………そんな声。
『それの………、何が間違いだったんだ? 俺は………、何か間違っていたか? 和泉………』
その声を聞いた和泉は………感じずにはいられなかった。
ーーー櫂は………今までに無いほど絶望している。
ーーーいつも、何があっても穏和な笑みを浮かべ、辛い表情など何一つ見せなかった櫂が………今、こんなにも苦しんでいる。
和泉は、もはや、ただ電話越しで話を聞くだけでは耐えられなかった。
『っ、櫂兄さん………! そこにいろよ………! 俺………今から行くから………っ、ーーー兄さんっ? 』
その時、和泉はとんでもない事実に気が付いた。
ーーー通話が、切れている。