君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
悲鳴と共に、 聞こえた叫びに………和泉の頭に途轍もなく嫌な予感が過ぎる。
『………っ、クソッ………!!』
それと同時に和泉は、志帆の事など最早構う事無く、悲鳴がした方へと駆け出していた。
沢山の人混みの中………血まみれで倒れている一人の青年。
『っ、通せっ………、通してくれっ………』
和泉は、 その姿を確認しようと人混みの中を必死で掻き分けていった。
ーーーそして、心の底から夢であってほしいと願った。
今、意識を完全に失い倒れている青年が………櫂でない事を。
ーーーしかし、和泉が目に止めたその姿は………
『………櫂、 兄さん………?』
他の誰でもない………和泉のただ一人の兄だったーーー。
『櫂兄さん………? 櫂兄さん………!!! 何してるんだよ、こんな所で寝てんなよッ……!!なぁッ………!!』
和泉は、その手が血塗れになり、涙で視界が激しく揺れるのも構わず、必死に櫂の体を揺さぶるがーーー櫂はピクリともしない。
和泉は、その目の前にある惨酷な現実に、途方も無い暗闇の中へ堕ちていくようだったーーー。