君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「瀬名、く………」

「ーーー………わかった」

「………え?」

「いつも………、 いつも怖くて、苦しくて仕方なかった………。櫂兄さんが、死んだ日から………ずっと」

優葉を抱き寄せながら、その首筋に顔を埋めていた和泉は………泣いていた。

その和泉の涙は、洪水のように溢れ………まるで今までの和泉の苦悩や葛藤の表れのようだった。

「俺は………、櫂兄さんに謝れなかった………。俺の言葉で、そして多原の事で苦しんだ櫂兄さんを救えなかった………。櫂兄さんは、 何度も俺を救ってくれたのに………。
だから、櫂兄さんが死んだのは………俺のせいだと思った………」

「っ、そんな………」

「だから………、それから俺は友人とも家族とも信用しないよう距離を置いた………。そして、 櫂兄さんの夢だった政治家を志すようにもなった………。
櫂兄さんを死なせた俺が………誰かと信頼しあい仲良くするなんて………、別の目標を持つなんて………絶対にしてはならない事だって思った………」



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