君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「俺が櫂兄さんに償えるのは………、それだけだと思ってたから………。 これから先も、 一人で………、どんなに嫌でも、政治家になって………生きるつもりだった………」

次々と、和泉が頼りなく震えた声でその心の内を明かすのを聞き………優葉の胸は強く締め付けられた。

「恋愛だってそうだった………。 多原の事があってから、俺は女を一切信じず、自分の都合の良いように使うようになった………。
そして、特に女の教師は徹底的に嫌い………散々、反抗もした………」

「っ、だから………、ずっと私にもあんな態度を………?」

「ああ………」

優葉がそう聞けば、ゆっくりと和泉は頷いた。

すると優葉は、今までの和泉の数々の冷たい態度は全てが自身に原因があった訳では無かった事が分かり、 少しだけ肩の荷が下たような気がした………が。

「………でも、 あのキスは違うから」


「えっ………?」


ーーー不意に、和泉が涙に濡れた顔を上げて、真摯な目で見つめながら言ったその言葉に………優葉の胸は異常に高鳴った。
< 264 / 661 >

この作品をシェア

pagetop