君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
そして、舞台挨拶の最後の一環として、事前に観客から映画公式SNSアカウントへ寄せられた質問に舞台で答えるというものがあった。
"この映画のテーマは初恋ですが、 キャストの皆さんは恋人がいるとしたら、どんな言葉をいつもかけたいですか? 教えて下さい!"
勿論、李人は事前に答えを考えていた。
"やっぱり好きって言葉を伝えられたらいいですね。後は、俺を好きになってくれてありがとうっていう感謝も言いたいです"
ニッコリ柔らかく笑って、 誰が聞いてもそつがない答えを言う。それが、品行方正な俳優である李人に求められる事のはずだ。
しかし………
(俺は………今、 優葉に向かって余裕を持ってそんな言葉を言えるのか?)
李人は、舞台上で他の出演者の答えを聞きながらそんな事を考えていた。
勿論、プライベートと仕事は別にしなければならない。 イメージ先行がある芸能界での仕事はそれが特に重要となる。
李人は、頭では分かってるつもりだったが………どうしても、和泉の元に行ったあの日から優葉に会えてない事を思えば、 違った答えを思い浮かべてしまう。