君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………もしもし、 李人君っ?」
『優葉………!』
優葉が、誰もいない空き教室で電話に出れば李人の嬉々とした声が聞こえた。
それを聞けば、李人がずっと優葉を思ってくれていたのだと実感し、胸が熱くなる。
『やっと電話できた………。 ごめんね、優葉。 ずっと仕事で連絡ができなくて………。 メッセージも入れたんだけど、 声が聞きたくなって電話してしまった』
「っ、 いいの。私も、勉強が忙しかったから………。でも、私もずっと声が聞きたかった………」
李人の東京の住まいを去ってからずっと、まともに連絡を取れていなかった。
その為、 優葉を心から求めているような李人の声を聞いてしまっては、 李人に会いたいという気持ちが一気に膨れ上がる。
そして、改めて優葉が好きなのは李人しかいないのだと思い知らされる………。
「会いたい………、李人君」
そして、その想いのまま優葉はそう口にしていた。
しかし、ハッと意識を取り戻し、慌てて取り繕う。
「っ、ご、ごめんね、李人君っ………! 私なんかよりずっと、李人君の方が忙しいのに………、こんなワガママっ………」