君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「っ、でも、李人君は………」
『俺はいいの。 似たような事言ったでしょ、 優葉の行きたいとこが俺の行きたいとこ。 優葉がいれば、俺はいい』
そう断言した李人に、優葉の胸はまた高鳴る。
(相変わらず分かってくれてるんだ………、 李人君は)
優葉が、時に自分の事よりも他人を優先してしまう節があるからこその今の言葉だと優葉はもう、分かっていた。
李人は、優葉にとって一番心地の良い状況を作ってくれる。
やっぱり、そんな李人を優葉は優しいと思った。
そして、それと同時に優葉の脳裏に浮かんだのは………もう一人、 優葉を想う和泉だった。
(李人君は………、 瀬名君の事には何も言ってこないけれど………、 言わなきゃ。
こんなに私の事を気遣ってくれてるのに………李人君が一番、知りたい事を黙っておくのはフェアじゃない)
『………優葉? 』
「っ、ううん! 何でもないの。ありがとう。それなら、私、みかん狩りに行きたい。昔、 夏子おばさん達とよく行ったよね?」
『ああ、県立公園の近くか。 懐かしいね』