君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「すみません、帰りますから………」
身の危険を感じた優葉は、足早にその場を去ろうとした………が。
「そんな事言わないでよ〜〜〜」
「………ッ!」
突然、右手首を男に掴まれ、優葉は身動きが取れなくなった。
「は、離して下さいっ………!」
「嫌だよ〜〜〜。だってさ、 君もめっちゃ可愛いし。 晴夏ちゃん?とは違って清純そうでさぁ。
俺、君のことタイプなんだけどなぁ。 一目惚れってやつ?」
お酒で赤らんだ顔を近付けながら、男はニヤニヤと不快な笑みを浮かべ、優葉の手首を離さない。
「っ、やめてっ………」
恐怖のあまり優葉は、拒絶の声さえ上手く絞り出ずにいた。
(嫌だ………! どうしてこんな目に………っ)
「ーーーおい」
しかし、………不意に。
「………ねえ、お前。この子に何してるの?」
背後から声が聞こえ………、優葉は思わず振り向いた。
(まさか………。 そんな筈ない………)
それは先程からずっと、優葉が思い出していた声。
忘れるはずのない、彼の声ーーー………。
「り、ひと君………?」