君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


目の前にいたのは、李人だったーーー。

その表情はメガネをかけており、更に暗闇でよく見えないが、間違いない。

「っ、な、何で………?」

あまりの突然すぎる李人の登場に、優葉は今の状況も忘れ、李人をただボー然と見つめることしかできなかった。

「………いつまで、優葉に触ってるんだよ?」

そう言うと、李人はあっという間に男の手と優葉の腕を離した。

「り、李人君………」

「ンだよ、お前!! この女は俺が連れてくんだよ!!」

「そっちこそ優葉の何? 嫌がる女性の腕を無理やり掴むなんて、男としてどうかと思うけど?」

「あ!?ふざけんな、テメーーー!」

激昂した男は、李人の顔をめがけて殴りかかった。

しかし、李人はそれをあっさりとかわすと、あっという間に男を羽交い締めにし地面に叩きつけた。

「ッ、な………」

あまりに突然で優葉、男、共に手も足も出せなかった。

「………まだ、地面に叩きつけられたい?」

そんな男に李人は、優葉が今までに聞いた事のないような冷たい声で語りかける。

「ッ、ひっ………ひぃっ!!」

そして、そんな李人に完全に怯えきった男は早足でその場を去った。


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