君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

(え………?)


ーーー引く?


ーーーあり得ない?


(李人君と………私の関係はあり得ないの………?)


優葉の中で、 晴夏の言葉が何度も狂ったように反芻する。

「優葉? どうしたの?」

「………えっ………」

「顔が真っ青だけど?」

何が面白いのか、晴夏は笑っていた。

「………っ」

(駄目………、何も返す言葉が見つからない………)

「ご、めん………。 大丈夫………先に行くね」

やっと、晴夏にそう言えば優葉はその場から逃げるように立ち去った。

「………っ」

ーーー突然の言葉だった。

突然に、李人との関係をよりにもよって大切な友人である晴夏から否定されてしまった。

イトコ同士は、結婚はできる。しかし結婚しても、一生ついて回るものがある。


それは、血縁。

切ろうとしても、決して切れない身体に流れる血の絆………。


優葉の中に流れる血は、 李人とほぼ同じだ。

それだけで、 優葉は李人と出会い、当たり前のように一緒におり、恋をした。

ただでさえ、濃い血の絆を………李人を愛す事によりもっと、特別なものにした。

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