君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

勿論、 兄や妹などといった近親者ではない為ーーー李人との関係は罪でも何でもない。

なので、優葉と李人の関係を分かってくれる人もいるだろう。

優葉もそうだった。 李人が俳優になり、想いを諦めようと思った事はあるが、何も、李人が従兄弟だからといった理由で想いを止めようとは思わなかった。

しかしーーー、今日の晴夏の言葉で優葉は気付かざるをえなかった。

「従兄弟に、李人君に恋をしたら………、 私達を否定してくる人達がいる………」

そして、その唐突に降ってきた事実は………優葉の胸をこれでもかと言うほどに締め付ける。

「………っ」

優葉は、それと同時に息苦しくなり講義室の前の廊下で膝をついた。

(どうして………、 今、気が付いてしまったの? もう、もう………私は)

「後戻り出来ないほど………、 李人君しか見えないのにっ………」

そう掠れた声で吐き出すように言えば、 優葉の目には涙が溢れる。

ーーーしかしまだ、優葉は知らなかった。

優葉と李人のイトコという血の絆がーーー二人の運命を大きく変えていく事に………。



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