君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「俺で赤くなったんだ?嬉しい」

「っ………」

あまりに図星を突かれ、優葉は顔を茹でダコのように染めるしかなかった。

そんな優葉を見て、李人は満足げに微笑むとその手を握る。

「っ、李人く………」

「熱は無かったみたいで良かったけど。 ………優葉は一人でまた何か悶々としてるみたいだから。
後で沢山聞くよ。とりあえず、折角ここまで来たんだ。今はみかん狩りを楽しもう。な? 優葉」

そう言い、また微笑む李人を見れば出かかった言葉を封じる羽目になる。

"李人君。私達がイトコだと知っている誰かがいて………私達を否定するかもしれない。だから、手は繋げない"

(言え………ない)

そう思い、優葉は李人の手を握り返した。

ーーー自分勝手だと、優葉は思う。

李人の事を想うのなら今このように沢山の人がいる所で手を繋ぐべきではない。

しかし、優葉は一分一秒でも李人を感じられる時があるなら感じていたいとそれ以上に願ってしまう………。

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