君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………やっと、優葉を抱きしめられた。 ずっと、抱きしめたくて仕方なかった」
「李、人く………」
「………だから、 一分一秒だってどこにも行かせない。
それに………まだ俺は何も聞いてないよ? 今日、優葉が上の空だった理由も………瀬名の事も」
言いながら、李人は優葉の身体を引き寄せ、自身の方へと向かせた。
「………話して? 優葉。 お前に一人だけで抱えさせないよ。 俺にも分けて」
「…………!」
そう李人に言われた途端、優葉は、今まで晴夏に言われた事全てを胸に溜め込んできたがーーーそれが、一気に外に出ていくような感覚に襲われた。
そして………気付けば、つぅっと一筋の涙が優葉の頰に伝っていた。
「………優葉!?」
「っ、…………ごめん、なさい…………止まらないっ………」
「こんなになるまで………。 どうしたんだ? 本当に………」
「言わ、れたの………」
「………言われた?」
「李人君と………私は、 イトコだから。 付き合うなんて………あり得ないって、言われたの………」