君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
(………そうか。 だから、 俺は)
「っ、だから………」
李人がそう思った時、 優葉が口を開いた。
「だから………、 私は瀬名君がきちんと信頼できる人を見つけて………、 自分の目標も見つけて、 幸せになって欲しいと………その為に支えたいと思ったの。
それが………、 私が瀬名君に好きと言われて………返せた唯一の事だから」
「………!」
李人は、優葉が言った最後の言葉に息を呑んだ。
"好きと言われて………"
(………これ、だったのか。 優葉が瀬名の事を言いづらそうにしていた最大の理由は)
ーーー確かに、 李人にとってそれは気分の良いものではなかった。
(好きな女が………、告白してきた男の傍にいて………その先を見守りたいだなんて、 あり得ない)
そう。ーーー普通ならば、あり得ない。
現に、李人は今まで先生としてでさえ、優葉が和泉と一緒にいる事にこれ以上ない程の強い嫉妬を感じていた。 今でもそれは、変わらない。
そして、それを抑えられる自信も微塵もなかった。