君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
しかしーーー先程、 先生として和泉の事を代弁した優葉は間違いなく根っからの"先生"だった。
生徒の為に、例えどんな事が待っていても強く、 前に立って守り抜く優葉のその姿は………李人の心を強く打った。
だからこそ………決めたのだ。
「………優葉」
李人は、そう優しい声で言い優葉の身体を再び引き寄せ、抱きしめた。
「………っ、李人君………」
「………ありがとう、 話してくれて。 瀬名の事は言いづらかったでしょ?」
そう言えば、 優葉は強くかぶりを振った。
そんな優葉の背中を柔く撫でると李人は話を続ける。
「………確かにね。 ムカつくよ? 好きな女がよりにもよって告白された男の成り行きを見守るっていうんだ。 嫉妬でどうにかなりそうだよ。 ………でもね、優葉」
そう言い、李人は優葉の目をじっと見つめた。 それはとても穏やかな眼差しで………優葉は一瞬にして、李人の眼差しに吸い込まれる。
「………お前は、 彼を先生として支えるべきだよ。 ………それ程にさっき、瀬名の事を言ったお前はかっこよかった。強くて、優しい………先生だった」