君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「………えっ」

まさか、李人にそれを聞かれるとは思わなかった優葉は言葉に詰まった。

(どうしよう………。 晴夏の事は、李人君も中学が同じで知ってるから………良い気分にはならないよね。 私も、晴夏の事を悪くは言いたくない………)

そう優葉が、悶々と悩んでいると李人が口を開いた。

「………大方、俺達と同じ学校のヤツでしょ? 小学と中学ってあまりメンツも変わらないしね。 優葉と俺がイトコだって覚えてるヤツがいても不思議じゃない」

「………っ」

「大丈夫。 お前に、悪いようにはしないよ。 俺も言われて傷付きはしない。ただ、俺がどんなヤツか覚えときたいだけ」

「李人君………」

そこまで、李人に勘付かれているにも関わらず、逆に晴夏の事を言わないのも不自然だと優葉は感じた。

(………言うしかないよね)

そう心に決めた優葉は、ゆっくりと李人に頷くとその名前を李人に伝えることにした。

「晴夏なの………」

「はるか?」

「そう。私達と中学が同じだった、篠村 晴夏………」

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