君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
晴夏の名を聞いた李人は、 暫く考え込んだように何も言わなかったが、 やがて口を開いた。
「………篠村 晴夏って、確か俺達と中学が同じだったよね? 優葉と同じクラスだった気がする」
「うん。 今も同じ大学で………仲が良いの」
「そうか。 中学の頃も篠村とよく一緒にいたよね?」
「うん。晴夏とはずっと仲が良いの。だから………その。 李人君との事を言われた時はショックだったけど、悪気は無いと思うの。 ただ、 そういう考えだったってだけで………」
優葉は、 李人に晴夏の事を悪く思って欲しくなく、必死に弁解をした。
そんな優葉を見、 李人は優しく目を細め微笑んだ。
「………大丈夫。 言ったよね? お前に悪いようにはしない。 ………篠村の事も、 嫌いになったりしないよ」
「李人君………」
「………だから、もう何も心配しないで。 ね?」
そう言い、李人はまた優葉を抱き寄せた。 優葉は、その温もりに包まれ一気に安堵する。
ーーーしかし、その一方で李人はある決意を固めていた。