君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

今まで、相手から告白され、恋が始まっていた晴夏にとって、初めての感情だった。

なので、どうしたら良いのか分からず、ただただ、頭を下げ続けたが。

『………ごめんね』

『気持ちは嬉しいけど………、俺、好きな子がいるんだ』

思いもよらなかった李人の答えに………、晴夏の胸は、ドクンと大きく嫌な音を立てた。

そして、そこから胸の動悸が止まらなかった。

『っ、好き、なこ………？』

そのような中、何とか声を絞り出し、李人を見上げれば、いつになく真剣な眼差しを向けられた。

『………うん。その子じゃなきゃ、 俺はダメなんだ』

『せっかく………、 好きになってくれたのにごめんね。
でも………あの日の事は全て、本当に思ってるよ。 必ず、 篠村の全部を受け入れてくれる………そんな奴は必ず、篠村なら現れると思う』

『っ、』

李人はそう言い、依然として柔らかな笑顔を浮かべていたが、晴夏は思った。

(今のあたしじゃ、優葉に勝てなかったんだ………)