君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「酷いわ、和泉君っ」

「お前な………」

「で、誰なのよっ! 教えなさいよ、この遼馬様にっ!今まで、散々和泉君に冷たくされたんだから、それくらい教えてもバチ当たらないわよっ」

そう遼馬に言われ、和泉は胸の奥がズキリと痛んだ。

(確かに………突然、俺は遼馬達から距離を置いた。 なのに、それを謝りもせず、大切な事を何も言わないなんて………駄目、だな)

「………ン」

「………え?」

「っ、………ゴメン。 ………距離を置いたのは、その………遼馬達が悪い訳じゃない。 ただ、俺が色々あって………怖くなっただけ。 お前達と接するのが」

「………色々?」

「ああ。でも、それはまた後で話したい。………でもとにかく、その時、俺は何もかも諦めてた。人を信頼する事も、夢を見つける事も………何もかも」

「和泉………」

「………でも、そんな時に、俺に人を信頼しても良いと。 夢を見つけて、幸せになってもいいんだと、教えてくれた女性がいた。ーーーそれが、俺の好きな女」





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