君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


和泉は、そう言い真剣な表情で遼馬を見た。その表情を見た遼馬は、息を呑んだ。

(本当に、その人の事が好きなんだな………)

和泉に関しては、中高両方とも彼を好きだという女子生徒や、噂になった女性の数も相当なものだった。

和泉との間には数年のブランクがあり、それらの詳細は遼馬にはわからない。

しかし、今の和泉の表情が全てを物語っていると思った。 

今、和泉はーーー、初めて恋をしているのだと。

「いやーーー、もう嬉しいわぁ。和泉が人としても、男としても成長してくれて………。だから、過去のことなんてもういいわよ。大切なのは今よっ」

「………ありがとう。けど、お前はいつまでその気色悪い口調を続ける気?」

「ええ〜?面白いから良いじゃないっ」

「………」

「で、どんな子なのよっ!和泉の好きな子って?遼馬様に教えなさいよっ」

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