君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「そしたら、友達に言われた。憧れているものはないのかって。
この人みたいになりたい。そういうものはないのかって。
………考えたらさ、あったんだ。俺にも」
「憧れてるもの………?」
「そう。さあ、何でしょう?」
「え?何、って………」
(瀬名君が憧れているもの………って、まさか)
「戦隊ヒーローとか!?ちっちゃな頃、すごーく憧れててアクション俳優になりたくなったとか!!子供たちに希望を届けたいって!」
(男子の憧れといえば、戦隊ヒーローだよね!きっとそう!)
そう思った優葉は、割と自信満々にそう和泉に言ったが。
「何でそうなんの?アンタの思考回路、どうなってんの?」
和泉にこれでもかという程、眉をひそめられ、優葉は身体を顔張らせた。
「………全く。鈍感にも程があるね。本当、何にも思いつかないんだ?」
「ご、ごめんなさい………」
「いいよ。もう仕方がないから教えてあげる。
ーーー俺はね、"先生"になりたいんだ」