君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

ーーーその台詞を聞いた時。

優葉の思考は、一瞬停止をした。

(先生………?)

何度もその言葉が頭を駆け巡る。 
そして、同時に思いついた一つの憶測。

(まさか………。ううん、でも………)

「せ、………瀬名君」

「何?」

「先生、って………どうして思ったの?」

一縷の期待を込めて、優葉はそう尋ねた。


「どうして、って………それは、アンタが一番分かってるんじゃない? ………先生」


そして和泉は、柔らかな声でそう答えた。
その声を聞いた瞬間、優葉はーーー


「………ッ!!」

涙が溢れ出て止まらなかったーーー。

「っ、先生!?」

「さ、笹原先生!?どうしました!?」

急に涙をこぼし始めた優葉を見、和泉はもちろん、その場にいた他の先生や生徒も驚きを隠せなかった。

「っ、ご、ごめんなさい………! 私ったら泣いちゃって………、恥ずかしい」

「全くだよ………。一体、どうしたっていうわけ?」
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