君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「だ、だって嬉しくてっ………。
瀬名君が先生になりたいって言ってくれるなんて………。
ちゃんと先生としての姿が、瀬名君を救ったって思えてっ………」
「………だからって、泣きすぎ。
全く………世話のかかる先生持つと大変だよ」
そう呆れ返る様子を見せながらも和泉が、優しげに目を細め、グレーのハンドタオルを優葉に渡す。
(前にもあったな………。こんなこと)
それを受け取った優葉は過去、和泉の家を訪問した際、和泉がぶっきらぼうにも藍色のタオルを渡してくれたことを思い出した。
(やっぱり………、瀬名君は優しい。出会った時から………ずっと。
言葉や態度はツンとしているけれど、いつも最後には人を気にかける。
………本当に、よかった。こんなにも優しい瀬名君の心を守れて………本当によかった………)
優葉は、涙を拭きながら今までにないほど温かな気持ちになっていたーーー。