君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

【策略と罠】


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「ーーー瀬名君。先生になるって、ご両親は許してくれたの?」

ーーー授業終了後。 

本日のクラスが和泉で最後だった優葉は、川野スクールの待合室で和泉にそう尋ねた。

「それはまだ。数日前に決めたばかりだし。でも、そう言うものなら確実に怒り狂うね。

俺たち兄弟を政治家にさせようと血眼になってた人たちだから。

だから、考えが変わるまで家に監禁でもされるんじゃない?」

「か、監禁って………。そんなサラリと物騒な言葉を………」

「ーーーでもさ、先生?」

「んっ?」

「この俺が、何も考えなしで動くとでも思う?」

そう言った和泉は自信ありげであった。

「た、確かに………」

(瀬名君は、元々頭の回転が早いし………。何か策を練っていても不思議じゃない)

「………何か、策があるんだよね?」

そう優葉が問えば、和泉はまた不敵に微笑んだ。

「あるよ。だから、見てて?先生」

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