君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

後ろから、聞き慣れない女性の声がし、和泉は振り向いた。

「ーーーあっ、晴夏!」

優葉が、ニッコリとその女性に微笑んだ。

女性は、セミロングの髪をゆるく巻き、花柄のレーストップスに、膝上の黒の台形スカートを合わせていた。

顔立ちも、とても愛らしく、見た目の印象はとても良い。

多くの男が、彼女をほっておかないだろうと和泉は思った。

しかしーーー

「………優葉、この子は誰?」

和泉は、彼女が優葉と自身を見つめる目に対し、どこか違和感を感じた。

(………何だ? この女の目。笑ってるけど、笑っていないような………)

そう思い、和泉は彼女に対し警戒心をもった。

「そうだ!晴夏、紹介するね? こちら、瀬名 和泉君。 私が去年川野スクールで教えていた生徒で、今日から教育学部に入学するの。 すごいんだよ! 今年の首席なの! 私の自慢の生徒なんだ」

しかし、そのような彼女の様子を優葉が気づくわけがなく、嬉々として和泉を彼女ーーー 晴夏に紹介した。

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