君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「瀬名君。 こちらは、篠村 晴夏さん。私の中学の頃からの友達なの」
「………はじめまして。 篠村です。 よろしくね? 優葉にこんなにカッコいい教え子がいるなんて思わなかった」
「………いえ。 それほどでもないですよ」
和泉は、そつなくそう返答したが晴夏の視線がやはり、いやに気になった。
「って、優葉! 今日テニス部行ったんだけど、斎藤先輩が呼んでたよ? 優葉にゼミの資料で渡したいものがあるって」
「あっ、そうだ! ごめんね、晴夏!わざわざ来てもらっちゃって………」
「ううん。それよりも、先輩が待ってるから早く行ってきたら?」
「うん! ありがとう、晴夏。 瀬名君もごめんね、まだ話したかったんだけど………。また、連絡するね?」
「いいよ。来てくれてありがとう。 気をつけてね、先生」
「うん」
そう言った優葉は、ふんわりと和泉と晴夏に微笑むと急いで大学構内へと去っていった。
そのため、和泉は思いがけず晴夏と二人きりになってしまった。