君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「では………、俺はこれで」
優葉もいなくなったため、これ以上ここに残る理由がないと思った和泉は、その場を離れようとしたが。
「待って」
去り際に、右腕を晴夏に掴まれ、和泉は立ち止まるほかなかった。
「………何でしょうか」
「………ねえ、瀬名君だったっけ? 随分と、優葉と親しいんだね? "ただ"の先生と生徒なのに?」
晴夏はそう言い、綺麗な口角をあげたが、その目は和泉を試しているように見えた。
(この女………気が付いてるのか? 俺の優葉への気持ちに。
………けど、気付いていたからって何でこんな試すようなマネをする?)
和泉はそう訝しく思ったので、晴夏の真意を探るため、話を続けることにした。
「"ただ"の先生と生徒でも、仲が良いことはありますよね?篠村先輩も、そういう同級生見たことあると思いますけど?」
「………ふうん。 そうきたのね。 でも、知ってるの? 瀬名君」
「何を?」
「ーーー優葉の秘密」