君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「いい? 本当にタダじゃおかないから」
和泉はそう晴夏に吐き捨てるように言うと、その場を去って行った。
そして、和泉の気迫により何も言えない晴夏はその姿をボー然と見つめるほかなかった。
しかしーーー
「………んで、なの」
(何でなのッ………!!)
「何でーーー 何で、 どいつもこいつも優葉のことばっかり………!!」
晴夏は、その激情のままに声を震わせながらそう叫んだ。
たまたま、優葉を呼びに行った時に遭遇したのは、瀬名 和泉と呼ばれた李人にも劣らない美青年と優葉だった。
和泉の、優葉に向けた柔らかな眼差しが気に入らなかった。
そして、優葉もまんざらでも無さそうに和泉と談笑していた。
李人だけでなく、こんな美青年まで優葉に特別な感情を向けているのが許せなかった。
なので、李人と優葉の関係を和泉に漏らした。
しかし、和泉はさも平然とその事実を肯定し、優葉を守るとまで宣言した。