君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「優葉。どれか決めた?」

「あっ、ごめんね。 私ってば、時間かけちゃって………」

「ううん。 そういうことじゃないんだ。とりあえず、今気になってるの全部言ってみて?」

「えっ? ええと、そのフォンダンショコラとシブーストと………」

李人の意図は分からなかったものの、優葉はとりあえず、気になったケーキを5つ言った。

「了解。 ーーーすみません。今、彼女が言ったもの全部ください」

「えッ!?」

李人は、傍にいた店舗スタッフにそう注文をした。

アルバイト代でケーキを買うつもりだった優葉は、李人の行動に戸惑った。

「り、李人くんっ………。 いいよっ………。 李人君、甘いの苦手でしょ?」

(それに、交通費やお昼代だってほとんど払ってもらってるのに、申し訳ないよ………)

そう思った優葉は、李人の名が他の人々に聞こえぬよう細心の注意を払い、そう指摘したが。



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