君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


だが、優葉が立ち止まった原因はそれだけでなかった。

「…………瀬名、君?」

優葉は、見覚えのある人影をベンチに見つけた。

それも、その人影ーーー、優葉の生徒である瀬名 和泉は涙を流していた。

まるでこの世の全てをどこまでも深く哀しむようにーーー。


「どうして………」

(いつもの瀬名君と………全然違う)

和泉は、川野スクールに通う事になり優葉の生徒となった。

和泉は授業を聴きはするが、いつも、生意気でその上無表情であった。

その為、優葉は和泉に対してあまり心を開かれてないと最近、特に感じるようになっていた。

(徐々に仲良くなれば良いって思ってたけど………)

いつもとはまるで違った負の感情を剥き出しにし、和泉は涙を流している。

そのような和泉を見て………、優葉はそんな悠長なことは言ってられないと思った。

(瀬名君には、今すぐにでも助けの手が必要だ………)

そう思い、優葉は急いで彼の元に駆け寄ろうとした。

ーーーその時だった。

「ーーー和泉様!」
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