君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
聞き覚えのある声がし、優葉はとっさにその身を茂みの中へ潜めた。
「探しましたよ、和泉様」
そこには1人の中年女性ーーー、和泉の世話係の関本がいた。
「こんなに遅くまで何をしてらしたのですか? 午前中、図書館へ行くと伝言を残されたままでしたよ」
「別に。 アンタには、関係ない事だから」
そう言う和泉は………、先程の涙はどこへやら、しれっと何事も無かったように関本と接していた。
それが、優葉には信じられなかった。
(確かに、さっきは泣いていたのに………)
「関係ないって、私はあなたのお世話を旦那様と奥様に任されておりますから………って、あら?」
関本は、ふと和泉の手元にあるものを見た。
それは、先程ベンチの下に置かれていたのだろうと思い、その視線を優葉も追う。
(バケツに、汚れたタオルに、新聞紙、それにお線香…………)
優葉はそこまで見てこう思った。
(まるで、お墓参りに行ったみたい………)