君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
優葉が、心臓の鼓動を必死におさめている間、李人は電話に出る。
「もしもし。 斉木さん? おはようございます」
『おはよう、李人。 悪いな、こんな朝早くから』
「いいえ。 仕事が入りましたか?」
『ああ。細木プロデューサーからのご指示でシーン30、31を撮りたいとのことだ。合成じゃなく、本物の朝の空気を大事にしたいってことだし、お前のスケジュールの都合もある。かなり急だが、仕方ないだろう』
「ええ、そうですね。 分かりました、すぐに準備します」
『悪いな。6時半にはそっちに迎えに行くようにするから支度をしといてくれ。………しかし、李人。 お前ヤケに元気だな? 前から起きてたパターンか?』
勘の鋭い斉木は、李人の声が寝ぼけていないことに気が付いた。 そして、すぐにある可能性にたどり着いた。
『………李人。 もしかしてお前………、女と一緒?』