君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

その斎木の言葉を聞いた瞬間、李人の胸はドキリとはねた。 

玲に、優葉との事を報告しておけと言われた事はきちんと覚えていた。 そして、李人もそのつもりだった。 

しかし現在、李人の仕事は数年先まで埋まっているスケジュールの下で動いている。

しかも、事務所内で有望株になりつつある李人は斎木だけでなく、様々な芸能関係者マスコミに常に囲まれている。

そのため、優葉の事を報告する時間が設けられなかったのだ。

「………斉木さん。 ちょっと時間を頂けますか? すぐにかけ直します」

(話すなら今だな。 優葉の許可さえおりれば………)

そう思った李人は、電話を一旦保留にすると優葉の方を向いた。 

「………優葉。 斉木さんって覚えてる?俺のマネージャーなんだけど、事務所に入るって俺が決めた時、父さんと母さんを説得してくれた人」

「うん、覚えてるよ。 李人君をスカウトした人だもの。あの時は親戚みんなを巻き込んで、李人君家に行って話を聞いたよね? その斉木さんがどうかしたの?」

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