君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

和泉は、ため息と共にその写真に目をやった。

確かに、遼馬などの様子が普通だろう。

しかも、R町のような田舎で週刊誌の記者に会うことなどまず無い。

しかし時には、政治家である父、義家の子として。

またある時には、兄である櫂の死の真相を暴こうとされて、何かとマスコミに追われる事のあった和泉。

そのため、"記者"という存在は身近なものだった。

ーーー良いも、悪いも、世間にとって注目度が高いものが撮れそうならば、それを徹底的に追うのがマスコミだ。 

深入りなど、けしてしたくない。

和泉は今までの経験上、そう咄嗟に判断したーーーが。

「………ッ!?」

和泉はその写真を見、心臓が止まるほどの衝撃を受けた。

(優葉………!?)

そこには、紛れもない優葉が写っていたからだーーー。

「見た事ないかな? ここの学生って聞いたから、知ってるかなと思って」

「え?この子?んーーー、俺らの学年にこんな子いたか?」
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