君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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優葉は今、和泉の車に乗っていた。

その車は、黒のダイハツミライースで至って普通だ。

和泉は高校卒業後、専属だった運転士を有華の父付きの運転手として雇用させた。

そしてその後免許を取り、自分で運転するようになった。

大学まで近く、勉学に集中するためにも就職するまでは実家にいろと言われた和泉は、何か自立できることはないかと考えた。

その結果が車だったのだ。
費用も今は両親が払ってくれているが、そのうちアルバイトをして返すつもりだ。

少しずつでも自立をし、勉学でもアルバイトでも教師としての夢に近付き、優葉を喜ばせる。 

それが、和泉にとっての1つの原動力になっていた。

「狭くない? 先生」

和泉は、後部座席にいる優葉に話しかける。

「ううん、全然! それより、びっくりした………。瀬名君、もう免許取ってたんだね。 なんか、すごいなぁ」

「どうして?」

「だって、 初めて会った時は高校生だったのに………、大きくなったなぁって」





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