君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
すっかり感心した優葉がそう言えば、和泉はフと微笑んだ。
「そうだね。 ………だから、先生も守れるよ?」
「えっ」
「守るよ、絶対に。 ………今度は俺が」
そう言う和泉の真摯な目に………優葉はまた、吸い寄せられるように見入った。
そして、感じる小さな胸の鼓動。
(………また、だ)
優葉は、戸惑いながらもその鼓動を感じ続けていた。
そんな優葉に和泉は、藍色の膝掛けブランケットを彼女の頭から被せる。
「っ?」
「それ、被ってて。そして、門を出るまで具合悪そうに下を俯いてて。
裏門から出るけど、記者がいないとは限らないから。
まぁ、いくらなんでも、具合悪そうな人乗せてる車、止めたりしないだろうし」
「うん………、分かった」
「よし。 じゃあ、出発するから」
そう言い、和泉はハンドルを切った。
(本当………、いつの間にこんなに頼もしくなっていたの?)
和泉の後姿を見ながら優葉は、そう思わずにはいられなかった。