君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
和泉は喉の奥から、そう言いかけた。
しかしーーー
「………ッ!! な、なに!?」
「何って、俺が言いたいよ。 なにいきなり変顔してくれてんの?」
和泉は、その言葉をごまかすように優葉が頭に被っていたタオルごしに彼女の髪を乱暴に撫でる。
ーーー違うと分かっている。
優葉に、李人がいる以上
………和泉と優葉の関係が教師と生徒だった以上。
例え、どんなに望んだとしても優葉が和泉を"意識"などするはずないと分かっている………。
(だから………、 その顔はきっと違う。 ーーーただの、変顔だ)
和泉はそう自身に強く言い聞かせた。
「へ、変顔じゃないよ!! 元々、こんな顔だよ!」
「へぇ。 元々、ねぇ。 じゃあずっと変顔してんだ? さすが先生」
「そういう意味じゃないよ! ていうか、いい加減、手あげてよ!」
「………はいはい。 そんな顔しなかったらね」
そう言い、和泉はゆっくりと優葉からタオルを剥がした。