君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「そんなに家族がいたら、この少子化の日本じゃ表彰ものだね。 さすが先生、考えることが違うよ」
「なんか、褒められてる気がしない………」
「褒めてるんだよ? やっぱり、先生は発想力が違うって」
「そんなに面白おかしそうに、誰が褒めるって言うのよ!」
ーーーと、いつものごとく優葉が和泉のからかいに乗せられてしまった時だった。
「ーーー和泉様?」
邸宅の内部から、パタパタとスリッパの足音が近付いてきた。
「お帰りなさいませ、和泉様。 お客様でしょうか? ーーーあら?」
「あっ」
優葉は、その年配の女性に見覚えがあった。
「こちらの方は、確か………和泉様の塾の?」
一方で女性も優葉の顔を覚えていたようだった。
「そう。 ーーー笹原先生だよ。 関本さん」