君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「笹原先生………。やっぱり、そうでしたか。 お久しぶりでございます」
関本は優葉に穏やかに微笑むと、頭を下げた。
それにつられ、優葉も頭を下げる。
「お久しぶりです! 申し訳ありません、お邪魔しています」
「いえいえ。 ここは、瀬名様のお宅ですので………、私のことはどうぞお気になさらないで下さい。 もうすぐ、帰宅の時間ですし」
そう言い杉本は、なぜかまたどこか嬉しそうに優葉に微笑む。
「ですが、せっかく可愛らしいお客様がいらしたので………、お茶をいれますね」
「いいよ、関本さん。 その通り、杉本さんはもうすぐ仕事終わりだ。 お茶なら俺がいれるから」
「和泉様、お気遣いありがとうございます。 しかし、まだ勤務時間内ですので、お茶くらい入れさせて下さいな」
そう言い、"お願い致します"と深々と関本は和泉に頭を下げる。
その姿を見、和泉は小さく息をついた。
「わかった。 でも、時間になったらすぐに帰らせるからね。 夜も内職の仕事しなきゃならないんでしょ?」