君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「えっと、じゃあ緑茶を下さい」
「ん、了解」
「て、ていうか、それなら私も手伝うよ!」
「………何言ってんの。 先生は来客なんだから、手伝う必要ないでしょ?」
そう言いながら、和泉は右の親指と人差し指を丸く曲げると、軽く優葉のおでこを人差し指ではじく。
「ーーーっ、な、なに!?」
「本当、先生は先生だね。 ………けど、それは、なおしたほうが良いと思うよ?」
「えっ?」
和泉の言っている意味が分からず、思わずそう返した優葉に、和泉はどこか複雑そうにーーー、しかし優しく微笑んだ。
「………また、あとで話すよ」
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"だから、先に部屋に行っていて"
そう和泉に言われてしまったので、優葉は手伝いを辞退せざるを得なかった。
「ここかなぁ………、瀬名君の部屋」
優葉は、唯一閉まっていたアンティーク調の白いドアを開けようとした。