君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
特に優葉の目を惹いたのは、部屋に入ってすぐ最奥の正面に佇む、三面鏡の形をした白い額縁の出窓であった。
瀬名邸の庭が一望できるその窓の大きさに優葉は息を呑んだ。
「すごいね………。 瀬名君の部屋」
広さといい、インテリアといい、出窓といい、優葉は和泉の部屋に圧倒されるばかりだった。
「うーん。 確かに広いかもしれないけど、実家だから。掃除は関本さんがしてくれるし。俺が建てた訳でもないから、自慢はできないね」
「そうかな?」
「そ。そんなもんじゃない?」
「で、でも!私だって実家だし! それに、私の部屋はこんなにセンス良くないよ! 瀬名君の部屋ってセンス凄くいいと思う!モデルルームみたいで! だからーーー、ーーーっ?」
優葉が、ポジティブな言葉を出来るだけ和泉にかけようとしたーーー時。
「ありがとう、先生。 ………でもね、今日は、アンタの話だよ? 俺じゃないでしょ?」
和泉が優葉の唇に右手の人差し指をそっと置き、その言葉を塞いだ。