君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「先生は………、どんな時も人のことに一生懸命だね。 目の前の人を傷つけたくない、助けたいって思ってる。 実際、俺もそれに救われたけど」

そう言うと、和泉はそっと優葉の唇から指を離す。

「瀬名君………?」

「ーーーけど、先生………、自分のことは考えてるの?」

「え………?」

「先生は………自分の痛みに酷く鈍感だよ。 そして、人に心配かけないようにって
自分が傷付いてもそれを見せないようにする時もある。違う?」

「………!」


ーーーその和泉の言葉を聞いた途端。



優葉の心臓は、大きく音をたてた。


「っ、それは………」

その先の言葉を何も紡げない。

………あまりに、和泉の言っていることが当たっていて。 

優葉は言葉を何も紡げなかったーーー。

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