君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「だから………、 アンタが弱音を見せないっていうことが。 本音を隠して、他人に尽くすっていうのがアンタを蝕んでるなら………俺はそれを壊すよ」

「………っ」

「先生は俺に言ったね? 幸せになってほしいって。 それは、俺も同じだよ。

だから………、けして容赦なんてしない。

アンタを蝕む感情は、徹底的に排除するよ。 ………けど」

そう言うと、和泉は優葉の頬をそっとその両手で包み込んだ。 

「けど、その分………、俺は優葉を守る」

「………!!」

「一緒に、その蝕みから出られる方法を探す。 一緒に悩んで、苦しむ」

「………ッ」

「先生が、俺にしてくれた。 教えてくれたことだよ。 
だから………、何も気にしないで。 全部、俺に預けて」

「瀬名君っ………」

「………守らせて、先生」

ーーーその、和泉の力強い言葉。

ーーー優しい和泉の声色。

ーーー温かな和泉の手のひらに、瞳。

全て、………全て。 

和泉が、優葉の心を守るために………あるのだと実感し、優葉の目には自然とまた涙が溢れた。

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