君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

【明らかになる関係】


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「李人。 ちょっといいか」

ーーー優葉が、瀬名邸を訪れていた時と同じ頃。 

次の主演ドラマ宣伝のため、バラエティ番組にゲスト出演した李人は楽屋で、帰り支度をしていた。

そんな李人を斉木は呼び止めた。

「ええ、何でしょうか」

「………今から、社長のところに行きたいと思う」

「………え?」

李人は、斉木の思わぬ発言に眉を潜めた。

李人が所属する"スターズ"は、芸能界きっての大手事務所である。 

そのため、多数の俳優やタレント、芸人、スポーツ選手、文化人が所属しており、社長に会うことなど余程売れない限り、滅多にない。 

若手俳優でトップの地位を築きつつある李人でさえも、2、3回ほどしか会ったことはなかった。

「なぜ………社長が俺に会いたいと?」

そのため、李人がその質問をするのも自然な流れだった。

しかし………李人はその時、斉木が少しだけ顔を曇らせたような気がした。



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