君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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李人と斉木は、"スターズ"本社に到着した。 

本社は、渋谷にあり、20階建のビルの10階から最上階まで全てスターズ関連部署が入っている。 

その最上階にある社長室へと李人達は向かった。 

「どうぞ、お入りくださいませ」

社長秘書に案内され、李人はその重厚さ漂う茶色の木製ドアを開けた。 

「おお、来たな」

李人の目の前にいたのはーーー、スターズ社長 青嶋 紀人(あおしま のりと)であった。 

青嶋の背は180センチと高く、筋肉質な体型で、彫りの深いハーフっぽさを漂わせる顔立ちをしている。 

昔は、モデルをしていた時期もあったそうで、その端正なルックスは60歳を超えた今でも健在である。

しかしそれらよりも、李人や斉木が感じるものは、長らく大手芸能事務所を率いてきた青嶋の社長としての威厳さや厳かさだ。

何も言わずとも伝わるそれらに李人は、唾を飲み込んだ。
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