君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
(何が起こってるのよっ、瀬名君の周りは………!)
しかし、その優葉の心の叫びを知る由も無い和泉は、冷たい表情のまま少女の手を跳ね除けた。
「っ、 瀬名くーーー」
「それなら、もうアンタに用はない」
「そんなっ………」
「出ていけ。 目障りだ」
「………ッ!!」
その言葉が………余程、心に堪えたのだろう。 彼女は、もの凄い勢いで瀬名邸の敷地内から出て行こうとする。
(こっちに来るっ………!)
優葉がいた鉄格子が張り巡らされている敷地近くまで少女が来ると、優葉は通行人のフリをしながら少女に見られぬよう、顔を背けた。
「ッ、うぅっ………」
少女は、優葉など気にせず泣きながら走り去る。
その後姿がとても痛々しく、深く傷付いた少女を間近で見てしまった事もあり、優葉は、和泉に対してもう黙ってられなかった。
「ーーー瀬名君!!」
優葉は、 邸宅に戻ろうとする和泉を門の向こうから大声で呼び出す。
「………は? 何でいるんだ、あの女?」
さすがの和泉も優葉がここに来ているのは想定外だったようで目を見開き優葉を見つめている。