君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

ーーー俳優生命と、優葉。

そのどちらかを選ばなければ………、どちらとも失う。

それが血のつながりのある従姉妹を愛した………、優葉を愛した代償。

その事の重大さに、李人は初めて気が付いた。

「………少し、時間を。 時間をください………」

李人は、いつにもなく小さな声でそう返答するので精一杯だった。

憔悴しきった李人に、斉木も苦しげに眉を寄せ、"あぁ"と呟くのがやっとだった。

ーーーしかし、 李人や斉木が思った以上に………時間は待ってくれないのだということを。

事態は、急速に動いていたのだということを………彼らは数日後、身をもって知ることとなる。



ーーーーーーーーーー

「………李人君」

(今日もでない………)

その日は、秋の訪れが近づいてきた9月の後半だった。

街は色とりどりの紅葉に彩られ、景色は紅や橙色に染まっていた。

そして、優葉が李人と付き合いだし1年が経っていたーーー。
< 488 / 660 >

この作品をシェア

pagetop