君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


ーーー優葉と李人が中学二年の夏。

『学校帰り、芸能事務所にスカウトされたよ』

優葉、李人の家族が近くのファミリーレストランで夕食を共にしていた時だった。

ちなみに笹原家から橘家までは、徒歩五分圏内だ。

なので家族一同で外食することも、けして珍しくない。

『えーーーッ!?』

しかし、そのような至って普通の日常の中、突然飛び込んだ李人の告白。

それに驚いた優葉達の叫び声が、レストラン中に響いた。

確かに当時から李人は、近所や学校で評判の美少年だった。

しかし、優葉達の地元は埼玉県にある田舎町。

その周りは、基本的に畑や田んぼしかない。

車が無ければ近くのコンビニやスーパーにも行けない土地柄だ。

そんな辺鄙(へんぴ)な田舎町でまさかの"芸能界へのスカウト"。

スカウトした男性が優葉達の地元出身だったという。

東京の大手芸能事務所で働いており、帰省中、たまたま李人を見かけて声をかけたらしい。

しかしながら、このような田舎では絶対にあり得ない話だとその場全員の意見が一致した。

なので、優葉と李人の両親共に"………騙されているんじゃないか?" "新手の詐欺?"と次々に心配した。
< 5 / 719 >

この作品をシェア

pagetop