君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
その言葉に和泉は顔をしかめた。
(よし、引っかかった!)
優葉はその和泉の表情を見た途端、ほくそ笑む。
和泉の勉強法は、知識を得る為の適切な量と質をこなす賢いやり方だ。
だからこそ、単語を100回書くなどという作業は何が何でも避けたい筈だ。
その優葉の思惑が功をなした。
「バカじゃないの?そんなの、ただ手が疲れるだけで知識として定着しないでしょ。 ………しかも、なんかアンタがニヤけてて腹がたつんだけど」
「それが嫌なら、この門を開けて」
優葉が、改めて強い口調でそう言うと和泉は、黙って踵を返し邸宅へ戻っていく。
「瀬名君!?」
「ったく、うるさい女! 門を開けるんだよ!言っとくけど、宿題を受け取るだけだから」
和泉は、優葉を睨み付けると邸宅の奥へと消えた。
そして、目の前にあった門は、優葉の前から姿を消していく。
「門は開けたよ。 早く、課題をよこして」
「あっ、うん!これね。名佐大政経学部の過去問題。時間を20分で計って解いてきて。 採点は来週するね」
「ん。 じゃ、アンタに用はないから。早く帰ってくれない?」