君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
和泉が面倒そうに言いながら、優葉の手中にあるテキストを取ろうとしたが
「私の質問に答えたら渡すね」
優葉は、その手をサッと払いのけた。
「………ウザい。 ウザすぎる」
「言ったよね? 私は、先生であなたは生徒。 先生の言う事には従ってって。約束を守らない瀬名君が悪いよ?」
「って言っても、所詮はバイトの大学せーーー」
「………何で、公園で泣いてたの?」
優葉が無理にそう尋ねた途端、和泉の顔色が変わった。
「瀬名君が………公園で泣いてる所を見たの。
その後、 家政婦さんが来た時、あなたはいつもの冷静な子になってた。 それが………どうしても気になったの。 だから、ここに来た」
和泉は黙って聞いていたが、その表情は先程の生意気さと一変し、驚きに満ちていた。
(………私がその事を言うとは思わなかったよね)
表情を見れば、いかに和泉にとって知られたくない事だったか分かった。
「………ごめんね。余計なお世話だと思う。確かに、塾はバイトだよ。
………けど、瀬名君は私の生徒だから。生徒が泣いてたら、力になる。 どんな雇用形態でもそう思うのが先生だよ」